いくつもの、ひとりの朝     お父さん、このままどこかへ行こうか。

(2004年/DV/40分)

[スタッフ]
監督・脚本・編集:大嶋 拓
プロデューサー:浅野博貴 小村幸司
撮影・照明・EED:三本木久城
録音:多田正悟
主題歌:コヤマナオコ 「ライムライト」
製作:MPJ

[キャスト]
真奈美:清水美那
達夫:吉永雄紀
美鈴:以倉いずみ
八代:酒井孝宏
香奈:内藤 紅
和子:松永麻里
豊:郷田ほづみ

■2006年7月、渋谷シネマ・アンジェリカにて【ANGELICA+MPJ Short Film Market 2006】の1本として公開
■2006 Chanoma Film Festival 正式招待作品
■2009年9月、渋谷ユーロスペースにて【真夏の夜の万華鏡】の1本として公開

大学3年生の真奈美は、自分の父親と大して年の変わらぬ助教授の八代と先の見えない不倫をしている。しかしその心はどこか渇いていた。一方、真奈美の父・豊は、数ヶ月前に会社をリストラされ、求職活動を続けるうち別の女性と深い仲になってしまい、家にはほとんど寄りつかない状態だった。しかしたまに思い出したように、郵便物などを取りに帰って来るため、母・和子はそんな豊の態度にいらだち、また間近に迫った妹・香奈の高校受験のことに胸を痛めていた。大学の後期テストを終えた真奈美は、豊が家に戻る気があるのかどうか、はっきり問い正すため、同級生・達夫とともに、豊が女性と暮らす温泉地へと車を走らせる。

   

予告編



作り手のコメント

男は誰しも多かれ少なかれマザコンの気があるそうですが、では、すべての女は程度の差はあれファザコンの傾向を有するものなのでしょうか? 「父親が突然家を飛び出し、他の女性と暮らし始めた」というこのお話は、とある知人女性の実体験を元にしているのですが、それ以外にも、「別居している父親とたまに会うと、デートしている気分になる」とか「自分が付き合う男は父親くらいの年が多い」といった20代、30代女性の話を立て続けに耳にし、父親に対して特別な思いや葛藤を持っている女の人は案外多いんだなあと実感しました。家族の崩壊がきっかけとなり、父親を一人の「男」として再認識する、というのは、熟年離婚が増加しつつある現代、若い女性が少なからず体験していることかも知れません。そこから「彼女たち」がどう成長していくのか、興味が尽きないところです。
ヒロインを演じた清水美那さんは、自他ともに認めるファザコンらしく、役にはすんなり入ってくれたようで何よりでした。対する父親役の郷田ほづみさんも、実際に思春期の娘さんがいらっしゃるとのことでしたが、「娘に自分のありのままの姿はさらせない」という言葉に、やっぱり親子といえども男女なんだなあ、と妙に納得してしまったものです。

□「いくつもの、ひとりの朝」製作日記(旧サイト)

 DVD発売:2010年3月19日 エースデュース
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