崖 (2005年7月上演/約45分)

[スタッフ]
原作:青江舜二郎
脚色・演出:大嶋 拓
照明:関口友理
舞台監督:田端真実
制作統括:戸田宗宏
協力:日本大学藝術学部演劇学科

[キャスト]
男:八幡トモアキ
女:以倉いずみ

戦後間もない昭和21年の東京。食糧買い出しの途中の駅で男と女が出会い、男は米や野菜を安く分けてくれるという顔見知りの農家へ女を誘う。だが切り立った崖の上に来た時、男の態度は豹変し、いきなり女を押し倒すと馬乗りになった。必死で抵抗する女。世間では似たような手口で女を山中に誘い出し、10人以上を暴行して殺すという凶悪犯が出没している。この男こそ、その殺人鬼なのか? しかし、男は何故か途中で手をゆるめると女の体から離れ、「僕はこれで満足だ」と謎の言葉をつぶやくのだった…。混迷の時代の中で、一縷の望みをお互いに託した男女の心情をドラマチックに描く。

   

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作り手のコメント

日本大学藝術学部との共催で行われた「青江舜二郎生誕百年記念イベント」のオープニングでお披露目されたドラマリーディングです。しかし、イベントでの単発上演とはいえ、最初から最後まで座ってセリフを読むだけでは少々インパクトに欠けると思ったので、ドラマの最初と最後は、普通のお芝居として役者さんに演じてもらっています。殺人犯を模倣して女の貞操を確認したかった男と、殺されることを望み、危険を承知で男について来た女。それぞれの思惑のすれ違いが、動きとセリフの両方で観客にビビッドに伝わるよう工夫してみました。男を演じたのは、当時「ひらり、空中分解。」というユニットで活動していた八幡トモアキさん。一方の女役は、「実験室」でも熱演した以倉いずみさんです。