湿った指

(2001年/DV/78分)

[スタッフ]
監督・脚本・撮影・編集:大嶋 拓
プロデューサー:小林洋一 多井久晃
音楽:寺嶋由起
EED:三本木久城

[キャスト]
吉田:山田英治
朱実:館花千枝美
里枝:高木珠里
由美子:井上久美子
玉村:茂木正男

CGデザイナーの吉田は、自分が教えに行っているデザイン学校の生徒に次々手を出し、飽きたら捨てるという刹那的な女性関係を続けていた。ある日、付き合い始めたばかりの朱実と午後のひとときを過ごしていた矢先、吉田の元に玉村という中年男が訪ねてくる。彼は、以前吉田が付き合っていた里枝の父親で、彼女が実家の佐渡で不審な自殺を遂げたことを告げる。吉田は、「里枝の死は吉田のせいだ」と思い込んだ玉村によって朱実を人質にとられ、里枝の死の真相を探るため、玉村の車で佐渡に向かうのだが…。パーソナルシリーズ第3作。

   

作り手のコメント

シリーズ化してはじめて、製作費をビデオ会社と番組販売会社に出してもらった作品です。というわけで、メーカー側の意向が少なからず反映され、ジャケットのお色気度がいささかアップました。何しろタイトルからして「湿った指」ですから。でも実際は、主人公の元の彼女が、緊張すると手に汗をかいてしまう多汗症だった、という設定を題名に持ってきただけなのですが。それなら「湿った手のひら」だろ!と突っ込まれそうですが、まあその辺はイメージ戦略ということで(苦笑)。

作品的には、前々からやりたかったロードムービーで、それまでは室内でちまちま撮ってるのが多かったからいい気分転換にはなったのですが、移動しながら撮影するというのがこんなにしんどいものだとは! 東京から佐渡まで車とフェリーで旅し、佐渡ですったもんだがあって、帰りは新潟から新幹線で東京に戻る…という2泊3日の工程を、これまたドキュメンタリータッチでほぼ順撮りしていったのですが、初日は朝8時に東中野に集合して、新潟で撮影が終わったのが夜中の3時。仮眠を取って、翌日早朝のフェリーに乗って、フェリーでも撮影、佐渡についたらまた移動しつつ撮影して…という超ハードなスケジュールでした。高速道路を走行する車内のシーンでは、高崎映画祭の事務局代表だった茂木正男さん(大変にバイタリティのある方だったのですが、2008年に故人となられました)に、実際に運転をしてもらいながらセリフを喋ってもらったり…。よく事故が起きなかったなという感じです。ちなみに佐渡は思ったほど寒くないし、魚やお米も美味しいし、イメージよりも全然いいところでした。人影も少なく、ひとり人生を考えたい人にはおすすめのスポットじゃないでしょうか。

主役のCGデザイナーを演じたのは、2005年に「鍵がない」で劇場デビューを果たした監督の山田英治さん。この当時から大森南朋さん主演の短編作品を数多く手がけていました。バイク事故で死んでしまうヒロインには、個性派女優として舞台や映像などで活躍する高木珠里さんが扮しています。

 ビデオ発売:2001年2月23日 エースデュース