三島手風の生活

(1992年/8ミリ/54分)

[スタッフ]
監督・脚本・撮影・編集:大嶋 拓

[キャスト]
男:本間良平
女:日置加代

静岡県三島市の私立大学に通うひと組の大学生カップル。男が女の部屋に転がり込んで、そろそろ1年が過ぎようとしていた。しかし、4年生の春を迎え、就職活動にいそしむ女と、留年がほぼ決まって無気力に日を送る男との間に、微妙な亀裂が生じていく…。即興的な演出方法で、春から夏までの男女の心情の変化を追う。


作り手のコメント

92年のイメージフォーラムフェスティバル入賞作。「ドコニイルノ?」がPFFに入選したので、次はイメージフォーラムに挑戦だ、ということで初めて応募し、ありがたくも奨励賞というのをいただきました。私は人生の中で、賞と名のつくものをもらった経験がほとんどなく、賞金つきの受賞などというのは、後にも先にもこれくらいではないかと思われます。ちなみにこの時の賞金は3万円で、それをそのまま、同じ年の夏に行われたイメージフォーラムの16o映画製作講座の受講料に当てました。そこでの経験を元に、翌年の夏に「カナカナ」を撮ることになるわけで、ひとつひとつの作品はどこかでつながっているということを今さらながら感じます。カメラマンの宮野宏樹さんとの出会いも、彼がフェスティバルでこの作品を観て気に入り、私に手紙を送ってくれたのが始まりです。

内容の方は、これ以降の私の作品の原型ともいうべき、いわゆる日常淡々ものですが、私には同棲経験というものがなかったので、男女の生活観を出すのにずいぶん苦心しました(主役の男女に、実際にアパートの部屋で一緒に泊まってもらったり…)。主演の本間さんは、その後「カナカナ」そして「ウイークエンド・ピース」にも、同じ本多という役で出演。トリュフォー映画におけるジャン・ピエール・レオーみたいな存在といえるかも知れません。