冷ややかな乳白色

(1995年/ビデオ/40分)

[スタッフ]
監督・脚本・撮影・編集:大嶋 拓

[キャスト]
島村:島田幸泰(しまだゆきやす)
かすみ:田子かおる
高野:高瀬 勉
女性客:日置加代

スピードプリントの写真店に勤める島村は、客の持ち込む写真を密かに収集しては、単調な生活のウサを晴らしている。ある日、かすみという女性が持ち込んだフィルムには、意図のわからないセルフポートレイトが多数写っていた。かすみに興味を抱いた島村は、彼女の私生活をもっと知ろうと画策するのだが…。
1995年5月、イメージリングス第1回旗揚げ戦にて上映。

   

作り手のコメント

作者としては、一風変わったストーカーもの、という位置づけだったのですが、2003年に公開されたロビン・ウイリアムズ主演の「ストーカー」という映画が、この作品とまったく同じ設定なので驚きました(まさかハリウッドにパクられたわけではないと思いますが)。この作品は、私の当時のバイト先がカメラ店だったことから企画され、撮影もその店を借りて行っています。

当時、写真はまだフィルムが主流でしたから、週明けともなると、100本を超すネガが、私のバイト先の店舗にも持ち込まれていました。そしてそれを1カットずつ、モニターでチェックしながらプリントするわけです。当然、お客さんの私生活は丸見え。その人がどんな部屋に住んでいて、週末、誰とどこに遊びに行ったのか、等々、視覚的な個人情報はすべて手に取るようにわかってしまいます。一時期相次いだ芸能人のスキャンダル写真も、こういう店の店員がこっそり余分に焼いてマスコミに流しているという噂でした。最近はデジカメで撮って自宅のPCで出力する人が増えているため、こういうルートからの流出は減っていいるようですが…。この作品は、目のつけどころは悪くなかったと思うのですが、その先の物語がうまく転がっていかず、かなり悔いの残るものになってしまいました。