ドコニイルノ?

(1988年/8ミリ/33分)

[スタッフ]
監督・脚本・撮影・編集:大嶋 拓
助監督:藤原孝直

[キャスト]
少女:金久保奈々子

ごく普通のいまどきの女の子。「パパは普通のサラリーちゃん」で、何不自由なく育ってきた。でも18歳になって、彼女の心境は複雑。近頃ちょっと変だ。「自然と相性が悪くなったみたい」。まだまだ大人になりたくない、両親にももっと甘えていたい、そんなさみしがりやの可憐な少女の本音をリリカルに描く。センス溢れるカメラアイが少女のエロチシズムを爽やかにとらえている。(PFFアワード1988パンフレットより)


作り手のコメント

88年のPFF入選作。大学在学中は何度トライしてもダメで、半分あきらめかけていたのですが、卒業直後、ある事情で5月がまるまるひと月あいたので、「これが最後の挑戦だ!」とばかりに製作したリベンジ的作品です。しかし、在学中の映画仲間はすべて就職してしまったか就活中で声をかけるわけにもいかず、そのため、ひとりの女の子がえんえん街や荒野を彷徨う、というイメージ重視の作品になりました。その当時ずっと製作していた普通の劇映画がPFFではどうも評価が低く、もっとアバンギャルドなものの方が受けがよいのでは? という姑息な下心があったことは否定できません。と同時に、寺山修司の実験映画のようなものを一度は撮ってみたいと思っていたのもたしかです。撮影は日本三大砂丘のひとつである中田島砂丘や、今は亡き代官山の同潤会アパート、川崎の工業地帯など、いろいろ印象深いところで行いました。砂丘の赤電話、赤い花、燃える人形の赤い唇…。今見ると恥ずかしいものがありますが、作った当時は、こういうシュールな世界に憧れがあったようです。