U プリプロダクション(諸準備)

映像製作で一番仕事が多いのはこの段階かも知れません。キャストやスタッフの選定、スケジュール調整、ロケ場所探し、小道具や機材、車輌の調達…。「シナリオ」という紙の上にしか存在しなかったものを立体化するための下準備を、撮影開始までにすべて行なわなくてはならないわけですから。
この作品に必要な要素として、まず登場人物は真奈美(娘)、豊(父)、真奈美の友人・達夫、豊の恋人・美鈴(中国人)の4人に、母と妹と助教授。また場面としては、真奈美の家と大学、そして豊が住む古アパート、不倫がらみでホテルのシーンなんかもあります。さらに、家を出た豊が暮らす温泉地をどこに設定するのか…。シナリオで書くのは簡単ですが、探すとなると、毎度のことながら、実に頭の痛いところです。では、そのあたりの悪戦苦闘の日々を、ごゆっくりどうぞ。


 2月6日(金) ロケハン開始

豊が住んでいる温泉地、という設定の撮影場所を探してロケハンを開始。まずは全国フィルムコミッション協議会のHPから洗い出して、茨城県那須高原の黒磯駅周辺を日帰り視察。さすがに東京よりかなり寒く、川べりには雪のあとも。一応温泉もあるし、結構ひなびてはいるのだが、どうも今ひとつぴったり来ない。

 2月10日(火) いろいろ回ったのに…

前日から静岡県三島のビジネスホテルに泊り込み、1日かけて伊豆長岡、沼津、長泉、御殿場などを視察。しかしこれらのエリアも、どうもシナリオのイメージと重ならない。困ったものである。
(右の写真は柿田川のほとりにて撮影。看板で富士山の見えるポイントをわざわざ教えてくれてるのだが、この看板そのものが景観を害しているように見えてならない)

 2月11日(水) カメラマン宅訪問

14:00、板橋の三本木さん宅を訪問。今回の作品についての、さまざまな打ち合わせ。撮影カメラは、彼が所有するソニーのPD150か、あるいはパナソニックのDVX100のどちらか、という話になるが、DVX100の場合、どういうルートで借りるのかという話に突き当たり、一時ペンディングに。現場は普通乗用車2台体制、1台は三本木さんのスターレットでこれはスタッフ車、もう1台の劇用車兼キャスト車を、彼が最近懇意にしている某監督から借りることにほぼ決定。その辺の交渉も、すべて三本木さんにお任せする。普通カメラマンにこんなことまではお願いできないのだが、彼はいい意味でのインディペンデント精神を持ち続けている人なので、ざっくばらんにいろいろ相談してしまうのである。

 2月16日(月) ヒロインは…

18:00、渋谷のサ店にて浅野、小村両氏と会見。具体的な撮影日程の詰め。3月29日前後にクランクイン、4月4日あたりのアップということで了承を得る。またヒロインについては、昨秋公開の「蕨野行」(監督:恩地日出夫)で山路ふみ子映画賞の新人賞を受賞した清水美那さんで行きたい旨を伝える。彼女は最近NTTのCF(家族4人が団欒する食卓、しかし実は長女だけテレビ電話だった…というドラマ仕立て)にも出ている若手女優。今週末、本人にシナリオが渡る手はずとなる。

 2月21日(土) やっぱりめくってしまうこの本

NCWにて「タレント名鑑」を閲覧。豊役と達夫役候補を探しまくる。

 2月25日(水) 清水さんご対面

14:00、清水美那さんと所属事務所で顔合わせ。あまり気負ったところのない、ナチュラルな雰囲気のお嬢さんだった。本人いわく、真奈美に負けず劣らずの「かなりのファザコン」で、作品にはすんなり入っていけたとのこと。しかも父親は現在大阪に単身赴任中でたまにしか会えず、弟もちょうど高校受験だったりと、やたら作品の設定と重なる部分が多い。こういう偶然も何かのお導きというべきか。日常の延長のような感じで真奈美をやってもらえそうな気がして、こちらとしては大変ありがたい。これまでの出演作品(「蕨野行」「ハロー・マイ・ラブ」など)の現場話もいろいろと聞く。

 3月1日(月) お笑い→俳優→演出家?

前から気にかかっていた郷田ほづみ氏の近況をネットで調べる。彼は私が学生時代、「怪物ランド」という3人組のお笑いユニットで活躍していたが、現在は俳優業の他、4月から放送のアニメ「アムドライバー」の音響監督や舞台演出、そして湘南アクターズスクールの代表など実に多彩な活動をしている。役者一辺倒でないそのマルチぶりに少なからず興味を覚え、所属事務所に連絡を取ってみたところ、今月の末から来月上旬は、ちょうど演出を担当している劇団「ひらり、空中分解。(仮)」の本番が重なり、3月30、31日と4月4日くらいしか空いていないとのこと。かなり厳しい状況ではあるが、とりあえず企画書とシナリオを郵送し、目を通してもらうことにする。

 3月2日(火) NEWカメラをゲット!

達夫役候補の男優(20歳前後)のプロフィールを、各プロダクションのサイトで閲覧し、数名をリストアップするが、いまだ本命にはめぐり会えず。一方、撮影用のカメラを借りる当てをつけるため、以前私や三本木さんがDVシネマについての記事を書いたことのある「ビデオα」編集部に電話をして相談したところ、何と昨秋に出たばかりのパナソニックのDVX100Aを、三本木さんがユーザーレポートを執筆するという条件で、約2週間貸してもらえることになる。

 3月3日(水) 山梨行ってきましたが…

朝起きたら天気がよかったので、衝動的に山梨方面にロケハン。石和温泉を皮切りに、山梨市、東山梨、塩山と回る。山梨市はああ懐かしや、今からほぼ20年前に「TRIP」という短編のロケで使った場所。根津橋、笛吹川、そして動物園もある万力公園。あーあ、20年なんてあっという間だ。どこもほとんど変わっていなくて、こないだ来たみたい。一緒にロケに行ったあの時のスタッフや出演者は今どうしてるんだろうか。みんなそれなりに年をとって、それぞれの人生を歩んでるんだろう。などと思いにふけってる場合でもないが。しかし、ここもまた全体に今ひとつというか。何か、「絶対ここで撮りたい」と思わせてくれる吸引力に乏しいのである。

 3月4日(木) 主演男女は山形コンビ?

郷田ほづみ氏のマネージャーから連絡が来て、ご本人がシナリオを気にいっており、是非やりたいとのこと。これでとりあえず豊役はクリア。残るは達夫ということで、2日にリストアップした中から、まずは吉永雄紀くんと会う段取りをつける。彼は「蕨野行」と同じく山形で長期ロケを敢行し、2年がかりで完成したという「おにぎり―アルカディア物語」(監督:斎藤耕一)の主人公。もしこの顔合わせが実現すれば「山形映画主演コンビ」というわけである。

 3月6日(土) 助監督、録音…

三本木さんと現場で一緒だったことがあるNCW出身の今井清二くんに電話し、助監督を依頼。彼の運転は安全かつ乗り心地がいいとの話を聞き、地方ロケがある作品にはそういう助監督が好ましいと考えたのであった。明日会って話しを詰めることにする。一方、録音は、現在ヒポ・コミュニケーションズで録音助手をやっているかつての助監督、井上久美子さんに話を持ちかけるが、スケジュールの調整が難しそうとのこと。

 3月7日(日) スタッフ編成ほぼ決まり

13:00、池袋にて今井くんと会い、作品の概要を説明。その後三本木さんも合流、制作体制の話を詰める。予算の関係もあり、現場スタッフは全部で5人。内訳は監督(私)、撮影・照明(三本木)、録音、メイク、そして制作を兼ねる助監督(今井)。かなり一人当たりの負担が重いことは予想されるが、まあ、乗り切るしかない。

 3月8日(月) 大学ロケって大変!

大学構内のシーンをどこで撮影するか悩み、東京ロケーションBOXに問い合わせるが、建物の中は容易に許可が下りないとのこと。今回はテストを受けているシーンがあるので、教室内の撮影が必須なのだ。世田谷にあるS女子大は教室も貸してくれるとのことだったので電話をかけてみるが、作品内容を厳しくチェックする上、レンタル料が4時間で10万以上(!)。お話しにならない。

 3月9日(火) W大学潜入作戦

NCWのメンバーで、現役W大生の長寿恵さんと、W大学内を視察。大学構内のシーン、彼女に許可申請を出してもらい、大学の自主制作作品として撮影するという大胆な作戦を考えるが、ここも、教室に関しては許可が下りないという。こっそり潜り込んで撮るという考えも一瞬浮かんだが、万一の時には役者さんにも迷惑がかかるので、今回はリスキーなゲリラ作戦は採用しないことにする。
17:00、知人の紹介で、中国人の芸能人を専門にマネージメントしている某プロダクションを訪ね、美鈴役のことで担当マネージャーと話をするが、事前にFAXをしていた割に、どうもあまり主旨が伝わっていないようで、少々不安になる。二十代後半から三十代前半と言っているのに20歳くらいの子のプロフィールを出してくるし…。シノプシスについても、「よくある、わかりやすい話ね」などと軽く言われ、少しカチンとくる。やはり民族性が違うのか。

 3月10日(水) 「ドコニイルノ?」のヒロインは今

作品に登場する真奈美の実家マンション、どこにするかほとんど当たりがつかず、意を決して、もう何年も会っていないけど年賀状のやり取りはしている、松井奈々子さんに電話。彼女は旧姓(金久保奈々子)のころ、PFF入選作の「ドコニイルノ?」など私の8ミリ映画に何本も出てくれたかつてのヒロインであり、今は結婚して二児の母親。声を聞くのも7年ぶりくらいだったのだが、用件を伝えると意外に好感触で、明日、部屋を見に行くことになる。

 3月11日(木) 高層マンション、そして吉永雄紀くん

11:00、東京郊外の松井宅を訪ねる。見上げるばかりの高層分譲マンションで、入り口にはフロントやロビーもあってホテルと見間違えるほど。しかも昨年出来たばかりとのことで、当然室内もピカピカ。これをビデオで撮ったら、綺麗すぎてスタジオで撮ったみたいになってしまうのでは? と少々不安に。でも、間取りはゆったりして窓も広く、撮影はしやすそう(左写真参照)。

16:00、新宿のサ店にて吉永雄紀くんと会う。かなり目鼻立ちがくっきりしていて(要するに濃い顔)、清水さんや郷田さんが和風顔なのとは対照的。でも、これまでの私の作品には登場したことのないタイプで興味を魅かれる。去年出た「ウルルン滞在記」のビデオも見たのだが、爽やかさとたくましさが同居していてかなり好印象。どんなにマイナスな状況でもプラスに転化させる性格のようで、考え方がポジティヴだなあ、と思ったら、案の定O型であった(ちなみに三本木さんや今井くん、清水さんもO型。私は結構O型とは相性がよいのだ)。

 3月12日(金) 信州上田は映画の街

真奈美が父を訪ねていく温泉地のロケ場所、いろいろ回っているのにいまだメドがまったく立たず、徐々に不安になってくる。今年は桜の開花がかなり早いとのことで、3月末に冬のシーンを撮るとなると、関東より寒いところに行かなくてはならない。したがって先日見に行った伊豆や甲府は気候的にNG。考えた末、2年前に他の作品のシナリオハンティングで、市街を案内してもらうなどいろいろお世話になった、信州上田フィルムコミッション(FC)が頭に浮かび、担当者の小林純行氏に早速電話。来週頭は空いているとのことで、月曜に訪ねる約束をして企画書をFAX。上田はかなり早い時期からFCを立ち上げており、これまでも実に多くの映画のロケ地になっている。そういうポピュラーな土地だけに、マイノリティ好みの自分としては少し気が引けたのだが、もはやそんなことは言っていられない。

 3月13日(土) 困った時はこの人に

NCW映像トレーニングコースのレクチャーでプロデューサーの武藤起一氏と会う。大学の助教授室のシーンを、彼の事務所で撮影させて欲しいと依頼。平日は業務に支障が出るからとのことで断られたが、28日(日)限定で使用許可を得る。これで、必然的にクランクインが28日と決まる。

 3月14日(日) インチキ中国人

14:00、以前公式サイトのフォトギャラリーでモデルをしてもらったことのある女優の以倉いずみさんと下北沢で会見。彼女は自他ともに認める「中国人顔」なので、片言の日本語が不自然でなければ、彼女に美鈴役をやってもらうのもありでは、と考えたのである。早速駅前のカラオケBOXに入り、NHKの中国語会話のビデオを見て、講師の女性の片言日本語を真似てもらったりしつつ、セリフの猛練習。しかしこんな方法で、どうにかなるのか?

 3月15日(月) 上田ロケハン(その1)

8:30に池袋西口で三本木さんと待ち合わせ、彼の車で一路上田へ。上信越自動車道を通り、11:00過ぎに到着。上田FCの小林氏の誘導で、豊と美鈴が住む古いアパート、川沿いの小道、ひなびた駅など、シナリオのイメージに近い場所を案内してもらう。まさに上田は映画の街というにふさわしく、画になるところが目白押し。中でも上田交通別所線の八木沢駅や舞田駅は、いかにも映画に出てきそうな趣(ていうか、実際いろんな映画に出てきているのだが)。夕方小林氏と別れ、三本木さんと上山田温泉方面へ。作品に登場する「天然温泉付きラブホテル」という代物が実際にあるらしいとの小林氏の証言を頼りに探し回り、ついに見つけたのだが、代表者不在とのことで撮影許可は得られず。帰りは八ヶ岳高原にある三本木さんの別荘に一瞬だけ立ち寄る。だがすでに日は暮れており、周囲の景色は拝めなかった。残念。22:00過ぎに東京戻り。彼のご好意に甘え、車で自宅まで送ってもらう(方向全然違うのに、すみません)。

 3月16日(火) 郷田パパはダンディでした

13:00、成城学園前のサ店にて郷田ほづみ氏と会い、作品の内容のことなどを1時間ほど、かなり突っ込んで話す。郷田氏も思春期の娘を持つ父親とのことで、思うところがいろいろあったらしく、「自分も父親であると同時に一人の生身の人間であり、ありのままの姿をすべて娘にさらすことはできない」「ドロドロの喧嘩をしても、最後には許し合えるのは親子ならでは」といった感想を抱いたという。私は独身だし、当然子供もいないので、そういう立場の方からの意見は大いに参考になる。郷田氏はその後すぐ、近くの稽古場へと向かう。彼の芝居も本番まで2週間と少し。大変な時期の「二足のわらじ」である。
夜、上田FCの小林氏に、昨日見せてもらった古アパート、室内も使わせてもらうことは可能かと問い合わせる。後日、可能との返事が来るが、作り込みの手間を考えると、やはり室内は東京で場所を探した方がいいのか?

 3月17日(水) 役者さん決定

懸案だった録音は、昨年三本木氏と何本か現場をやった多田正悟さんで行くことに決定。また、吉永くん、以倉さんの事務所にも「正式によろしくお願いします」と連絡。メイクに関しては、NCW関連作品を数本手がけている二村奈央子さんに話を振っているのだが、いまだ最終調整に至らず。録音機材(ゼンハイザーのマイクとブーム)はNCWのものをレンタルすることに決まる。

 3月19日(金) アパート探し

午前中、決定稿を打つ。準備稿では未定だった地名などを入れ、またラスト近くの真奈美と豊のセリフを一部変更。B5タテ書きの印刷台本用フォーマットにしてプリントアウト。
14:00、荻窪からバスに乗り、NCWのOB坂元啓二くん宅を訪ねる。例の古びたアパート内部の候補として見せてもらったのだが、置いてあるものが今風で、ちょっと違うかな、という感じ。他に当てはないかと相談したところ、近くにある彼の先輩の部屋が、やはり築三十年くらいのアパートだというので、後日そちらも見せてもらうことにする。16:30〜、渋谷のサ店で助教授・八代役、および母親・和子役候補の役者さんと面談。

 3月20日(土) メイクさんもようやく決定

NCW映像トレーニングコース第4期のラストレクチャー。休憩時間、決定稿シナリオを25部両面コピー。メイクの二村さんからメール来たる。4月2日だけは厳しいが、あとは参加できるとのことだったので、メイクを正式にお願いする。

 3月21日(日) アパートほぼ決定

午後、坂元くんの先輩・宮澤正次氏のアパートを訪問。シナリオのイメージにかなり近い間取りで、いい具合に年季が入っている。角部屋で光の回りもよく、こちらをお借りすることにほぼ決定。帰り新宿に出て、紀伊国屋の文房具売り場に向かうが、信じがたいことに、売り場はマンガコーナーに変わっていた。聞けば、昨年夏で文房具の扱いはやめたのだという(それでいいのか紀伊国屋? 毎年あそこで手帳やカレンダーを買ってたのに! 田辺茂一が泣いてるぞ!)。仕方なく南口の東急ハンズまで足を伸ばし、そこで台本の表紙用の紙を買う。その紙を近所の印刷屋に持ち込み、表紙の簡易印刷を依頼(コピー印刷だとトナーとの相性が悪く、字がかすれてしまうのだ)。

 3月22日(月) 地味で地道な事務仕事

半日がかりでシナリオの製本。でも、わりと綺麗に出来る。台本屋さんのものと比べても、それほど遜色はないと思う。スタッフ表や通しの香盤表なども作成。本来こういうのはチーフ助監督の仕事らしいが、何しろ少人数体制だし、まあ、そういうことがなくても、割と地味な事務仕事が好きだったりするので。

 3月23日(火) オールスタッフ&本読み&衣装合わせ&飲み会(盛り沢山!)

11:50、NCWにスタッフ(三本木、今井、多田、私)集合。12:00から30分間、オールスタッフ打ち合わせ(短い!)。13:00に役者さん4人(清水、吉永、以倉、郷田の4氏)が勢ぞろいし、本読み開始。やはりこういう最初の顔合わせというのは、何かと緊張するものである。役者さん同士も、互いの出方をうかがっている感じ。でも、時間とともに、少しずつほぐれて来る。後半は、いくつかのシーンを動きをつけてやってもらったりもする。
17:00過ぎくらいから衣装合わせ、およびメイクの二村さんを交えて女性陣のメイク打ち合わせ。18:00終了。かなり盛りだくさんな半日であった。郷田氏は芝居の稽古に向かい、残った清水、吉永、以倉の3氏と私とで、親睦会を兼ねて飲む。初対面にしては、ここでは書けないようなディープな話がいろいろ飛び交う。やはり、清水さんと吉永くんの山形での苦労話は、味わったもの同士ならではといった感じ。しかも2人のつけているウォレットチェーンがまったく同一のもの!まさか運命的な出会い?他にも、吉永くんのお父さんの名前が「タツオ」だったり、清水さんのお姉さんの名前が「カナ」だったりと、奇妙な偶然が多すぎ、ちょっと気持ちが悪かったりする。お開きは22:00過ぎ。

 3月24日(水) 上田ロケハン(その2)

前回同様8:30に池袋西口で三本木さん、今井くんと待ち合わせ、劇用車のシビックシャトルで上田へ向かう。今井くんの運転はなかなかに快適。上田FCの小林氏とは上信越道の東部湯の丸I・Cで合流し、道の駅「雷電くるみの里」(パーキングエリアとして撮影予定)を見学した後、撮影の無事を祈るため生島足島神社に参拝、そこで小道具の学業御守を購入。
午後からは、上田女子短期大学を訪問。都心の大学での撮影は厳しいと判断し、上田で撮影をすることにしたため。エキストラも、同短大の生徒さんたちにお願いできないかと事務局長さんに相談、快諾を得る。ここら辺の話は、都心ではこうすんなりはいかない。その後、前回も回った上田交通の八木沢駅と別所温泉駅、古びたアパート、川のシーンで使う「高橋」という橋の周辺を見学(左写真)。ここはかの「たそがれ清兵衛」や「けんかえれじい」でも使われた由緒あるロケ場所。橋の下まで降りて、三本木さんと大まかなカメラ位置の打ち合わせもする。夕方、ひととおりの行程を終えて帰京。

 3月25日(木) ナイスなラブホと手作り餃子

13:45、南武線谷保駅にて今井くんと待ち合わせ、ネットで見つけた谷保国立インター近くのラブホテル「P」のロケハン。元はビジネスホテルだったのを改造したというだけあり、ラブホというよりはシティホテルの趣。間取りがかなりゆったりしていて、窓も広いのである(ロビーにプールまであるのには笑えたが)。しかも、料金が一般の使用料と同じで構わないというのがありがたい。今井くんとはそこで別れ、彼は周辺の弁当屋探しへ。
なお、豊と美鈴のアパートで4人が餃子を食べるシーンの餃子は、実際に皮から手作りすることが好ましいと今井くんに伝えていたところ、NCWで彼と同期だった増田佳恵さん(調理師免許所持)、そしていまくりの今西祐子さんが、撮影前日から助っ人で作ってくれることになる。感謝感激!

 3月26日(金) 写メールでロケハン

今井くん単独で、松井宅近くのマンション入り口のロケハン。松井宅は、室内は使えるが、外観はあまりに新し過ぎて使えないと判断したため。周辺の中層マンションをいくつか写メールで撮って、こちらのPCに送ってもらう(右写真参照)。それを元に電話でやり取り。実に便利な世の中になったものである。八代役の酒井孝宏さんからも、衣装合わせの写メが届く。私は夕方から新宿に出て、東洋医学研究所で胃腸の薬(六君子湯)をもらった後、ヨドバシカメラでDVテープやらアルカリ電池やらを購入。一方の三本木さんはビデオα編集部からカメラ(DVX100A)を、多田さんはNCWからガンマイクとブームをそれぞれピックアップ。いよいよ押し迫ってきた感じ。

 3月27日(土) カメラテスト

10:00、スタッフ4名(三本木、多田、今井、私)三本木宅に集合。近くの公園と室内で機材のチェックおよびカメラテスト。DVX100とDVX100Aとでは、シネライクガンマが少し変わったようなので、そのチェックなども合わせて行なう。ガンマイクとピンマイクをどういう状況で使い分けるか、といった細かいシミュレーションも。夕方までかかってひと通りの作業終了。明日はいよいよ…、である。

 

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