2001年、春日兄弟はアンドロメダに降り立つ!
(「シルバー仮面」「シルバー仮面ジャイアント」1971〜72年)

この作品はコアなファンも多いので、私などが今さら解説しても仕方ないのですが、最初は等身大だったのに視聴率が取れなかったので裏番組の「ミラーマン」に対抗すべく途中から巨大化したり、主人公は5人兄弟という設定だったのが、いつの間にか一人減って4人兄弟に変わったりと、わずか半年の放送期間にそうとうハチャメチャなことをやっています。にもかかわらず、いまだに忘れられない作品のひとつなのは、最終回で春日兄弟の男3人・光一(亀石征一郎)・光二(柴俊夫)光三(篠田三郎)が、片道でも30年はかかるというアンドロメダに旅立つというラストが結構胸にじーんときたからで、私は本放送の時(当時小学3年生)「うん、これは傑作だ」と思い、1年後に再放送を見て改めて涙し、さらに数年前にビデオで20何年ぶりかで見返して、またもや泣いてしまったというほどの超感動巨編なのです。
一体何がそんなに感動したかと言うと、要するに、地球とアンドロメダとの星間親善のために春日兄弟は自分たちが作ったロケット・ベム5号で旅立つのですが、片道で30年なら、戻ってくるのにさらに30年で往復60年、20代の兄弟たちもその時には80代のよれよれじいさんということになります。そこで彼らの後見人だった大原叔父(玉川伊佐男)と津山博士(岸田森)が、まだ幼いそれぞれの息子と娘をその旅に同行させる決心をするのです。それを聞いた長男の光一は言います。
「そうか、帰りのロケットには俺たちは乗れない。この子たちが、地球に戻って来るんだ!」
あー、このセリフに私はやられてしまったのですよ。小学3年生、当時まだ8年しか生きていなかった私にとって、30年という年月はあまりに長く、自分がもしロケットに乗せられて、地球に帰ってくる時には68歳、なんて想像すると、何だかとっても人間の存在がはかないものに思えて、ぐったりしてしまったのを覚えています。そしてまた、帰りのロケットには乗れないと知りつつも、笑顔で故郷の地球をあとにしていく3兄弟の爽やかな表情! とにもかくにも、8歳の私に、30年というとてつもない時間の重さを教えてくれた作品として、この「シルバー仮面ジャイアント」の最終回は長く心に留まったわけです。そして、彼ら兄弟がアンドロメダに到着するのは折しも今年、2001年! 何とまあ、実際にあれから30年の年月が経ってしまったとは!
8歳だった私も今年は38歳、兄弟たちのアンドロメダへの無事到着を祈って、一人シャンパンでも開けたい年のはじめです。
(2001/01/01)

[作品データ]
シルバー仮面ジャイアント 第26話「アンドロメダ2001」
放映日:1972年5月21日
放送局:TBS系 制作会社:宣広社
脚本:上原正三 監督:田村正蔵 特撮監督:大木 淳 音楽:日暮正信
出演:柴 俊夫/亀石征一郎/篠田三郎/夏 純子/玉川伊佐男/岸田 森

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