久々のタクラマ談話室、今回のお客様は2004年6月以来2回目の登場となるコヤマナオコさん。4月12日に1stアルバム『虹色フープ』が発売、22日にはレコード発売記念ワンマンライブ「君色フープ」(@恵比寿switch)を終えたばかり。これから夏にかけても旺盛にライブイベントにかけ回るコヤマさんに、今の心模様をお聞きしました。




















コヤマナオコ (シンガーソングライター)
12月2日東京生まれ。武蔵野音楽大学音楽学部声楽科卒業。
2002年以降、都内のライブハウスを中心にピアノ弾き語りのライブ活動を展開。
02年、「ほろほろろん」がVMCオリジナルソングコンペティショングランプリ受賞。7月15日、VMCレーベルよりCD化される。
04年5月31日にプチアルバム「てのひら」を発表。
06年4月12日には1st.アルバム「虹色フープ」がスパークルレーベルよりリリースされた。

HP≫コヤマナオコのにじいろ横町

 「虹色フープ」 ≫ 視聴ページ

大嶋 まずはレコ発ワンマンお疲れさまでした。予想以上にパワフルなライブで、とても楽しませてもらいました。

コヤマ どうもありがとうございます。今回のライブは、私の今までの人生の中で、自分自身が一番楽しめるライブにしよう!と思ってたんです。でも、そうやって力み過ぎるのもよくないんだけど、とにかく、そういう気持ちが一番あって、その楽しさは、お客さんにも伝わったんじゃないかって。私も実際、楽しめましたし。

大嶋 お客さんもにこにこして帰ってってましたよね。ぼくなんかはコヤマさんのイメージというと、どうしてもピアノ弾き語りのバラードの人っていうのが最初にあったんですが、今回のライブでは結構アップテンポの曲も歌ってましたね。

コヤマ そうですね、アルバム『虹色フープ』も、1曲目の「ベクトルと平行線」からかなりアップテンポですし、アルバムのイメージを伝えるものとして全体の構成を考えたっていうのはありますね。今回は自分の中のホットな面ていうか、ポップな感じを前面に出して行こうっていう……。

大嶋 でも、ピアノソロでしか聴いたことのない曲にバックバンドが重なると、全然印象が変わりますよね。コヤマさんの曲を通していろんな「表現」を見ることができたっていう意味でも面白かったです。特にステージの右側にはいろんな打楽器を交代で演奏する人もいたし……。

コヤマ パーカッションの桜ちゃんは特に「魅せる」要素を強く持ってるプレイヤーなので……。彼女と、それからギターの河内くんとは「ζYui.」(ゆい)っていうユニットを組んで一緒にやってます。

大嶋 今回は、コヤマさんがグランドピアノを弾いて、あとはベース(ウッド&エレキ)、ドラムス、パーカッション、キーボード(アンコールではギターも加わる)、という編成だったんですが、全員でやる曲もあれば、ピアノとベースだけのもあったし、そういう楽器構成みたいなのも全部コヤマさんが決めたんですか。

コヤマ そうですね。だいたいは決めておいて、あとはリハをやりつつ調整したって感じです。プレイヤーはみんな、前から仲よしでいっしょにやってる人たちを自分で集めたので、リハものびのび楽しくやれました。

大嶋 そういう一体感はすごく出てたと思います。やっぱり普段からのつながりっていうのは大切ですよね。


レコ発ワンマン「君色フープ」歌唱曲

01 君色フープ(ライブ テーマソング)
02 ベクトルと平行線
03 ハナうたパズル
04 うたいながら想いながら
05 ドラマティック
06 クローゼット
07 ほろほろろん
08 ドルチェ
09 白の風景
10 ドリームドロップス
11 あぶらかたぶら
12 FURI FURI ハリケーン
13 フタリのバリア
14 それがいいの
15 ライムライト
16 おやすみサリー(アンコール)
17 ありか(アンコール)
18 君色フープ(アンコール)



2006.4.22@恵比寿switch



大嶋 (曲の一覧を見て)18曲も歌ってたんですね。

コヤマ そうなんですよ。普段のライブだと、6、7曲がせいぜいで、そのくらいなら慣れてるんですけど、今回は完全なワンマンだったので。

大嶋 でも、全体のテンポは速かったですね。気がついたら1時間半経ってた感じです。

コヤマ それは、すごく意識しました。今回はスピード感が大事だなと。お客さんもほとんどスタンディングだったから、とにかく「だれてる感」はなくそうと。そういうことも考えたので曲順では特に悩みましたね。

大嶋 レコ発だから、アルバム曲中心なんだろうとは思ってて、今こうして見るとたしかにそうなんだけど、「ドラマティック」とか「クローゼット」とか、初めて聴く曲も入っていて、「おっ」と思いました。「クローゼット」は個人的にかなりお気にいりです。

コヤマ ありがとうございます。あの辺はライブでは結構歌っている曲なんです。

大嶋 やっぱり、アップテンポの曲が続いたあとのバラードっていうのはひときわ染みますよね。そういう意味では、とても効果的な曲の並びだったと思います。ラストナンバーに「ライムライト」を持ってきてくれたのも感激でした。

※「ライムライト」は7月公開の短編映画「いくつもの、ひとりの朝」のテーマソング


 


大嶋 CDの発売、そしてワンマンと、4月のビッグイベントが無事終わって、今はちょっとほっとしたところですか?

コヤマ それが、そうでもないんです。自分でもちょっと意外ていうか、もっと「ふう、終わった!」って感じでぐったりすると思ってたんですけどね。逆にみんなから新しいエネルギーをもらったっていうか。

大嶋 なるほどねえ。コヤマさんには、2004年の6月にもうちのHPのトークゲストでお話を聞かせていただいてますが、2年前と今とで変わったところってありますか? ≫04年のコヤマさんトーク

コヤマ 基本的なスタンスは前と同じだと思うんですけど、「コヤマナオコ」として歌ったり演奏したりってことについてのプロ意識というのは高くなったかも知れません。

大嶋 私なんかの見方としては、ご結婚されたことで、「ベクトルと平行線」みたいな、恋人同士というよりは夫婦っぽい、生活をともにしてる男女のケンカをテーマにした曲を発表できるようになったのかな、と感じたんですが。

コヤマ でも、あの曲はうちの夫婦のことじゃないんですよ。ある知り合いのカップルを見てて浮かんだ曲で……。

大嶋 あ、そうなんだ。これは完全に思惑がはずれましたね。でも、「一度火がついちゃったらなかなかゆずれない」とか「今夜もこのまま行っちゃうのかな」とか、かなりリアルな心情描写は絶対経験から来てると感じたんですが。

コヤマ こういう気持ちって、別に夫婦じゃなくても、友人でも、恋人でも、当てはまると思うんですよ。

大嶋 たしかにね。歌ができる過程については、以前のインタビューでもいろいろ話していただいたけれど、コヤマさんの場合、やはり広い意味で自分を取り巻く「生活」という要素をすごく大切にしてるっていうのはありますよね。

コヤマ そうですね。音楽をやるってことにはすごく真剣に取り組むし、甘えてはできないものなんだけど、それと、自分を貶めることとは違うと思うんですよ。生活を大切にすることで出てくる強さもあるし、それだからふんばれる、みたいな。

大嶋 ふむふむ。

コヤマ 自分の足もとがおぼつかない状況で、いくら大きなもの、きらびやかなものを作ったり追い求めてみても、結局長い人生の中では花火みたいになっちゃうんじゃないかなって。私は花火ではなく、花を大事に育てて、ぽ、ぽ、ぽ、と咲かせる方がいいなって思うんです。もちろん、いろんな生き方があるし、歌についての考え方もいろいろあっていいんですけど。私にとって家庭はすごく大事。大切なものをたくさんもらってると思います。でも、音楽を作るっていう作業は自分ひとりでやることなので、そういうところはひとりでがんばらないと。

大嶋 何かいいなあ。こういう話を聴くと、自分も結婚してみたいなあ、とか思ってしまうんですが(苦笑)。さて、では今後の活動などを。

コヤマ これから夏にかけても、いろいろな場所でライブをやります。7月にはまたワンマンもやりますので。それから、以前お世話になっていたジャズオーケストラ「渋さ知らズ」に4年ぶりに参加します。これは、すべてのライブに、というのは無理なので、スケジュールの合間を縫ってという形になると思いますが。

大嶋 なるほど。その一方、主婦業にもいそしんでるわけですよね。お体には気をつけて、ますますがんばって下さい!





[追加情報]
コヤマナオコさんの「ライムライト」がテーマ曲として使用されている短編映画「いくつもの、ひとりの朝」が渋谷シネマアンジェリカにて、7月2日から28日まで公開。7月25日の21:15の回には、コヤマさんによる弾き語りミニライブも開かれました。「映画館で歌うのって初めてで緊張する!」というコヤマさんでしたが、「ベクトルと平行線」「ライムライト」など3曲を熱唱。お客さまもひととき心地よいコヤマワールドを堪能しました。



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