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歓喜と失望と


何を今さらという気もするが、インターネットは実に便利なものである。調べたいものを検索すれば、たいがいのものが一瞬でクリアになる。知らない単語や人物はたちどころに判明するし、遠い過去の記憶の中に埋もれていたテレビ番組、芸能人なども画像で生々しく蘇ってくる。しかも最近は静止画だけにとどまらない。動画サイトであるYouTubeニコニコなどには、私の愛してやまないマイナー特撮や、懐かしいCM、歌番組などもかなりの数アップされている。インターネットはまさに、未知なるものと既知なるものの限りない宝庫なのである。

ただ、ひとつ気になるのは、ネット上で、あまりにもすべての知識が共有されてしまうことだ。わかりやすい例を出すと、はるか昔、私が小学校にあがった1970年前後に、明らかにいかがわしい怪獣のブロマイドが市場に出回ったことがある。「ウルトラマン」などの特撮ドラマに登場した怪獣の写真に、角や牙をつけて加工したバッタもん(パチモンとも言う)で、「ラコ」や「トーボーズ」「キレスドン」などが今も記憶に鮮明だ。しかもバリバリの盗作のくせに、「(C)ヤマプロ」あるいは「(C)ヨコプロ」と、しっかり(C)マークまでついている(いうまでもなくこれは、自分のところに著作権がありますよ、という意味だ。ちなみに私は(C)というものの存在をこの時に知った)。……というような代物で、今どき、こんなマイナーなものの存在を覚えているのは自分だけではないか、と思いつつ、「ラコ」「トーボーズ」を検索してみたのだが……。















ラコ(ケムラー+モヒカン)


トーボーズ(ガメラ+つの)


なんと、結構な数、しっかりあがってきましたよ。しかもご丁寧にパチモン画廊なんていうサイトまで。
実は上の画像も、そこから拝借したものだ。ああ、何十年ぶりの再会だろう! と、ある種の感動さえ覚えたが、しかし次の瞬間、何故か心をすきま風が吹き抜けていく。
そう、「こんなマイナーな物を知っている(あるいは覚えている)のは、多分自分だけだろう」という密かなプライドを、インターネットは見事に打ち砕いてくれるのだ。人間というのはわがままなもので、同じアイテムを心に留めていた仲間がいると喜びを感じる一方、自分だけのものだと思っていた宝物が、ありふれた「共有物」であったと知って、にわかに醒めた気分になったりもするものである。
まあ、それでもこうやって、記憶の彼方にしかなかったものと再会できるのはやっぱり嬉しいんだけどね。

付記:映画「凍える鏡」の公開に向けて、製作日記ブログを始めました。こちらも是非お読み下さい。
ちなみに製作は(C)「凍える鏡」製作事務所です。
(2007/11/01)

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