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美しき天然? (6月)


どこで最初に聞いたか忘れたが、「美しき天然」。いい言葉である(そういうタイトルの楽曲があったのは最近知った)。たしかに自然が作り出したものは美しい。空と海、大地から始まって、そこに生きる数多の動物植物たちは、一枚の葉っぱや小さな昆虫の羽根模様に至るまで、ひとつひとつの造詣が実に精緻で、まさに神が作ったというにふさわしい。かの彫刻家アントニオ・ガウディが、「自分は創造するのではない。神の御業を写し取っているだけだ」と語ったのもうなずける。自然美をながめる趣味のない人であっても、天然のものは人工のものよりもすぐれている、とどこかで思っているはずだ。

最近の健康食品ブームでも、やはり話題なのは化学合成ではなく天然成分が使われている製品で、コエンザイムとか○○とか△△とか(いろいろありすぎるので省略)、とにかく天然ものは値段も高いのによく売れているようだ。最近では、うつ病に効くサプリメントなんていうのまであって(セントジョーンズウォートとか言う)、抗うつ剤は怖いけどサプリメントなら、と考えてネットなどで手軽に購入する人もいるらしい。

でもねえ。私も少し前までは、「薬も飲むなら漢方だ」とか、「なるべく天然成分で栄養補給だ」などと考えていたのだが、天然の食品ならすべて安全、問題なし、なんてのは幻想(もしくは妄想)である。最近も、白インゲンを使ったダイエット法とかで嘔吐を訴える人が多数出たというし、それこそ天然ものの毒キノコフグで命を落とす人だっている。油断はできないのだ。まあ、天然だろうが合成だろうが毒は毒だし、体にいい成分であっても取りすぎれば毒になる。こんなのは、わかりきったことのはずなのに、今のわれわれはなまじ文明化した社会に住んでいるだけに、自然物に対して変な畏敬の念を抱きすぎているようだ。天然は、ただ美しいだけではないことを、そろそろ肝に銘じた方がいいのだろう。……といいつつ、昨日もポリフェノール3倍とかいうココアをついつい買ってきてしまった。病いは深いというべきか。

最近は、秋田の事件(あの母親…)とか、洋画家の盗作騒動(あの釈明…)とか、荒川静香の女優デビュー(あの棒読み…)とか、いろいろ気になった時事ネタは多いのだが、どれもあまり突っ込みたくないのでスルーします。ではまた来月。
(2006/06/06)

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