ホームポートレイトフォトドラマ廃墟系エクストラ

ひとりごと


ぼくはどうして写真を撮るのだろう。
過ぎていく一瞬を永遠に捕まえるため?
多分、そういうことなのだろう。
それは儚くも切実な、自然への抵抗に他ならない。

人間も、動物も、命あるものはすべて、
この世に生まれてきた以上、時間が経てば老いさらばえ、
やがては死にゆく運命なのだから
流れに逆らっても無駄なことなのだが、
だからせめて、つかの間の若さ美しさを写し取りたい。
ぼくを魅了して止まないそういう「形」が
たしかにこの世に存在したことを証明したい。

ぼくにポートレイトを撮らせるのは、
「変わらないもの」への執着であり、「永遠」への憧憬だ。
写真の中でだけは、一瞬の若さ美しさが永遠に封印され得る。
疎ましい老いは、切り取られたフレームの中からは
完全にシャットアウトされるのだ。

その一方で、時に見捨てられた廃墟に魅力を感じてしまうのは、
逆にそれがすでに完全に寿命の尽きたものだからだろう。
彼らはもはや老いの脅威から完全に自由であり、
そこに身を置くと、不思議な安らぎすら覚えるのである。


2006年1月某日
TAKU 記す