「実験室」DVD発売記念イベント

大嶋拓 特別オールナイト@シネマアートン下北沢


  


日大芸術学部でのイベントから約1週間後の2005年7月17日、シネマアートン下北沢で、「実験室」のDVD発売を記念した「大嶋拓特別オールナイト」が行なわれた。3連休2日目の深夜にも関わらず、場内はほぼ満員の盛況ぶり。レイトショーで公開されていた「ユニットバスシンドローム」から連続して鑑賞するお客さんや、NCWの若き受講生たちの姿も見られた。

上映作品はこれが劇場初公開となる「実験室」のほか長編デビュー作「カナカナ」と第2作「火星のわが家」。それぞれ劇場公開されてから今年で10年と5年というのも何かの巡り合わせだろうか。両作品ともすでにビデオ・DVD化されているので、プリントによる劇場上映はかなり久しぶり。特に「カナカナ」は、ビデオ・DVD版ではカットされている幻の6分間(皇太子夫妻の成婚パレードにヒロインが遭遇するオープニングシーン)がスクリーンに蘇り、観てくれた方たちにも新鮮な印象を残したようだ。

また、ゲストとして、前述の「ユニットバスシンドローム」で劇場デビューを果たした山口智監督、[いまくり]の今西祐子監督、シンガーソングライターのるりさんの3名が参加、作品上映の合間にそれぞれ私とトークを繰り拡げたほか、「実験室」ヒロインの以倉いずみさんも特別に舞台挨拶をするなど、夏の夜のスペシャルなイベントに華を添えた。

上映作品の詳細はこちら(イベント告知ページ)




1)山口智×大嶋拓
「ユニットバス〜」の山口監督は縁あって「実験室」には撮影スタッフとして参加。三本木久城氏とともに75分の長尺ドラマをほぼ一発撮りで収録し、カメラマンとしての手腕も発揮した。自身が監督する時の冷静な視線と、カメラを回す時の対象に肉迫する熱い目線。その辺のスタンスの違いや「ユニットバス」の製作秘話、次回作のことなどを淡々と、しかし誠実に語ってくれた。
※「ユニットバスシンドローム」はDVD好評発売中!  ≫公式HP




2)以倉いずみ×大嶋拓
日芸イベントでも大活躍だった以倉いずみさん。一般のお客さんに混じって「実験室」を大画面で見て、初めて「作品」として客観的に受け止められたという。「でも、あい変らず自分のアップなんかは辛いものがあって、半分顔をそむけてました」(苦笑)




3)るり×大嶋拓
「実験室」メイキングのエンディングテーマに自らの楽曲「オレンジピエロ」を提供してくれたるりさん。「実験室」の画面からは昔の土曜ワイド劇場(フィルムで撮ってたころの奴。天知茂の明智小五郎シリーズとか)のような嬉シ懐シ系の雰囲気が伝わってきた、と話するりさんは、出演者5人の中では月子ちゃんが一番共感できたとのこと。「最初、作家の人に、あんたなんか死んでしまえなんて言うのに、その後お水を持ってきてあげたりするでしょ。ああいう実はやさしいところが…」 
※CD「キミの中に棲む虫」と同名の絵本がそれぞれ絶賛発売中!  ≫公式HP:るり抄




4)今西祐子×大嶋拓
「いまくり」というユニットで製作活動を行い、すでに10本の短・中編作品を発表している今西監督。今回は特別に「失恋した女の子の半日くらいの話」という共通テーマで、今西監督と私がそれぞれ「もうすこし」(05年・6分)と「踏切注意」(02年・12分)という短編作品を披露。テーマは同じでも片やリリカル、片やリアルと作風は対照的で、女の子の内面を描く際に押さえるつぼの違いなどに話はおよんだ。また「実験室」については、「日本語が美しくて、昔の小説を読んでいるようでした」とのこと。  ≫公式HP


 時間の関係でトークが打ち切られることも…(涙)


それぞれが個性的なゲストとのトークは話もはずみ、じわじわ上映時間を圧迫しつつ下北の夜は更けて行った。ラストプログラムの「火星のわが家」が終了したのは7月18日の朝5時40分。外はすでにすっかり明るくなっており、映画館を出た瞬間、真夏の太陽が徹夜明けで重くなった両目を容赦なく射抜いた。そう、関東地方はこの日梅雨明け宣言が出されたのであった。


 アートンのスタッフの方々。いろいろお世話になりました!

(2005/08/04)


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